コピー:「お前の頭に侵入する。」
みんなのレビュー
-好意的な意見- 時間軸の移動の演出を「夢」という設定で可能にしており他の映画では味わえない感覚が得られた
- 夢の中の時間感覚が見事に表現されている
- 夢に階層を持たせる設定が新しい
- 家族への愛,自身との葛藤,過去への後悔といった普遍的な感情を孕んだストーリーで惹きつけられた
- 夢の設定が直観的にわかりやすい
- 心理的な構造がビジュアル的に表現されているのがすごい
- 深層心理,夢,仮想現実等の設定はSFのモチーフとしては使い古されたものだが独自の語り口とビジュアルが結びついており,そういったジャンルに一石を投じた作品となっている
- セリフのひとつひとつに重要なメッセージが含まれているような緻密でインパクトのある脚本
- 複雑なストーリーだが枠組みが一貫しているので安心して観られる
- ドラマ,映像に説得力がある
- キャラクターとキャストの扱い方が巧い
- ひとつのアイディアでここまでの娯楽大作に仕上げるのがすごい
- 夢の中のアクションシーンのアイディアが良かった
- 映像がすさまじい
- 映像,音楽,テンポが良かった
- ハリウッドの実力のある若手が集結していてわくわくする
- ディカプリオの演技が素晴らしい
- 渡辺謙の渋い配役が良い
-評価の低い人の意見
- 多重構造で難しすぎる
- ややこしくて楽しめない
- 話が難しい上に上映時間が長いので気を抜くと置いていかれる
- インセプションの動機が卑近で世俗的で違和感がある
- 仮想世界や意識の操作などの設定はこれまでの映画にもあり新鮮味は無い
- 監督の自己満足な枠組みに振り回されストーリーを楽しめなかった
- 予告編で派手なシーンをほとんど観てしまったので新鮮味に欠ける
みんなのレビュー[分析]
- 仮想現実,意識の中に入り込むという設定
- 「夢の中」のイメージや時間の感覚などがうまく表現されており説得力がある
- 使い古されたネタ
- 使い古されたモチーフだが独自の映像的な解釈やルールを持ち込みそれらを一貫させることでオリジナリティと新鮮さのある作品になっている
- 複雑でついていけない
- 設定が監督の独りよがりで楽しめない
論 評
本作品は間違いなく,2010年の映画界における最大の話題作であり成功作に違いない.ダークなファンタジーを撮らせたら間違いないクリストファー・ノーラン監督の意欲作だ.クリストファー・ノーランの作品はまず何よりも宣伝がしやすい.ほとんどの人は間違いなく,CMや予告編を見るだけで,是が非でも見に行きたいという欲に駆られてしまうのではないだろうか.僕はこれこそクリストファー・ノーランの作品の魅力なのではないかと思う.つまり,完璧なまでに”映画”を追求した作品なのではないか.
まず脚本,制作,監督全てをこなすので,作品の軸がブレない.再三言うように映画において軸がブレないということが最も基本であると同時に最も大事であると僕は思っている.その点に関して本作品は凄まじかった.もはや暴力的とも言える世界観の提示はクリストファー・ノーラン作品ではお馴染みなのだが,本作品ほど凝ったモノはもうそう出ないだろうと思う.
主演を務めたレオナルド・ディカプリオを全くもってクセがなく,つまりディカプリオとしてではなくあくまでコブというキャラクターとして見れたのもこの世界観があってこそだろう.またレビューの低い評価で難しい,ややこしいといった声が出ているが,これも本作の世界観に飲み込まれているためだと言えるのではないだろうか.
更に本作品の中では都市が非常に簡単に崩壊していき,その様が非常にうまく撮られているなと感じた.CGを多用する作品では時としてそれはさすがにないだろう的な作り手のエゴが全開の演出になってしまうことがある.ただの娯楽アクション映画なら許容できるが,シリアスな要素を少しでも持たせたい場合,このようなCGが使われると観客がさめしてしまう恐れがある.この点に関して本作品はよく練られた構成がされていて,映画におけるアクションの要素として当然CGを使ったシーンを多用するのだが,これを夢の世界のお話でそもそも夢は操作できるという様な設定を明確に示すことで,それらのシーンが効果的な映画体験に繋がっていたのかなと思う.
この様に本作品は映画としての完成度が非常に高く,期待を裏切らない作品と言えるだろう.クリストファー・ノーラン監督は本作品の構想を10年前から練っていたらしい.2000年の時点で本作品の映像が彼の頭の中で想像されていたと考えると,とてつもない映画監督だなと思う.
近年,スティーブン・ジョブス,マーク・ザッカーバーグといったIT業界の巨人たちの創造性が賞賛されているが,是非,本作品を見るにあたって,2000年の時点から構想が練られていた映像なんだという情報を持って見てみて欲しいと思う.より映画の作り手の創造性を感じながら楽しめるのではないだろうか.
当てはまるジャンル -強い要素の順に
ファンタジー,SF,サスペンス,アクション,ミステリー,パニック,スペクタクル
この作品に含まれる要素
- 仮想現実
- 人間の心理
- 任務遂行に命を懸ける男たち
- あふれる疾走感
- 現実を超越した映像体験
- ノーラン節
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