2012年6月1日金曜日

英国王のスピーチ


原題:King's speech
コピー:「英国史上、もっとも内気な王。」


みんなのレビュー

好意的な意見
  • 実在の人物を描いているのでリアリティがある
  • 地味なストーリーだが背景事情のスケールでうまく脚色できている
  • 演出と役者の演技力が素晴らしく退屈しなかった
  • ライオネルとジョージの関係が面白い
  • 友情・努力・勝利という王道ストーリー
  • コンプレックスと向き合う姿が美しい
  • 吃音症を治すためにただテクニカルな治療を施すだけでなく,ジョージ6世とローグが一人の人間同士として向き合い信頼関係を築いていくという流れが優しい.素晴らしい
  • 英国風の笑いが素敵
  • 王が一人の人間として注目されており好意的に思えた
  • コリンファースの,堂々としているがどこか怯えの哀愁を漂わせる風貌がジョージ6世の役にぴったり
  • 映画素材になりそうな英国王室最大のスキャンダルではなくその陰にあったジョージ6世のエピソードに着目した脚本が秀逸
  • 映画の中で国家高揚をストレートに煽るのでなくさりげなく一人の男として描いた点が良い
  • ユーモア溢れる場面が多いが全体的に厳格で格調高い仕上がり

評価の低い人の意見

  • ストーリーが地味で退屈.淡泊
  • アカデミー賞受賞作品にしては物足りない印象
  • メリハリがない
  • あらすじを知らないとわかりにくいストーリーだった

みんなのレビュー[分析]

  • 地味なストーリーだが観客を惹きこむ魅力がたくさんある(ジョージ6世とローグがお互いの人間性を認めるようになるまでのやり取り・展開,役者の演技,派手すぎない演出,英国的な笑いetc)
  • 派手な展開を期待している人にとっては物足りないのかも


論 評

 2011年度の賞レースを総ナメした本作は近年,ドラマ系の映画でハリウッドと一線を画しているヨーロッパの制作陣による作品である.特にイギリスはその歴史から王室モノの映像作品がとても多い.日本では天皇をテーマにしたエンターテイメント性の強い映像作品など到底作られそうにないので,やはりここが文化の違いということだろうか.
 さて,僕は本作品を映画館で鑑賞した.近年,3D映画というビジネスモデルが開発され,映画を映画館で観るという体験の主目的は映像美やアクション要素の派手さといったものになりがちである.やはり配給側も宣伝しやすく,呼び込みやすいのだろう.そんな状況の中,英国王のスピーチの場合,映画館で観る一つの醍醐味としては音体験だと感じた.本作品は演出とクラシック音楽の融合が非常にうまくマッチングしている.ラストの演説シーンなどはまさにクラシック音楽の高揚感をうまく利用していると言えるだろう.多くの映画では当然ながら音楽は大事な要素となっており,どの制作陣も劇中歌には特に気を遣っているに違いない.選曲のセンスが良い映画はたくさんあるが,その中でも本作品ほど完璧にマッチングがとれている映画はそうそうないのではないかと個人的には感じた.王室という高貴さ,近代イギリスのオシャレな雰囲気,そして小気味良いコミカルな演出といった映画の特徴はすべてクラシック音楽にうまくマッチしている.
 吃音というテーマの背景に流れる,美しくすらすらと流れるクラシック音楽.この絶妙な対立した構造がうまく耳と目を分け,音を視聴し,映像から大きな感動を味わうことができた秘密なのではないだろうかなどと自分なりに分析してみて論評をしめくくりたいと思う.

当てはまるジャンル -強い要素の順に

ヒューマンドラマ,歴史,ラブロマンス


この作品に含まれる要素

  • 実話に基づく
  • 身分を超えた真の友情
  • 史実の裏側
  • 権力者の苦悩
  • 近代イギリスの雰囲気
  • サクセスストーリー
  • クラシック音楽
  • ドラマで魅せる
  • 映像×音楽

イラスト


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